フィツカラルド
原題………Fitzcarraldo
監督………ベルナー・ヘルツォーク
脚本………ベルナー・ヘルツォーク
出演………クラウス・キンスキー
クラウディア・カルディナーレ
ホセ・レーゴイ
ミゲル・アンヘル・フェンテス
製作年……1982年
製作国……西ドイツ
配給………大映インターナショナル
19世紀末の南米ペルー。オペラハウス建設を夢見るブライアン・スウィーニー・フィッツジェラルドは、資金繰りのために無尽蔵のゴムの木を有するアマゾン河上流の未開地へ挑む……。何ともはや壮大なドラマであるが、これをニュー・ジャーマン・シネマの旗手W・ヘルツォークは、アマゾン長期ロケによってフィルムにしかと焼きつけた。船に乗って川を上っていくストーリーは、「地獄の黙示録」の原作でもあるジョセフ・コンラッドの『闇の奥』を思わせるものの、ここで主人公フィッツジェラルド(=フィツカラルド)が遭遇するのは狂人ではなく圧倒的な自然の力だ。激流に阻まれたため、やむなく船の山越えを決行するフィツカラルド。その巨大な蒸気船がインディオの協力を得て山を上っていく光景はまさにスペクタクル、息をのむ映像が眼前に広がる。主人公の執念がここまで壮絶なビジョンとなって観客を包み込む例はちょっとないだろう。苛酷なロケのためスターが次々と降板していった末にフィツカラルドの役を得たキンスキーだが、まさにハマリ役。彼を見守る恋人カルディナーレと共に、実に人間臭いキャラクターとなっている。ラスト・シーンも味わい深く、この大作を締め括るにふさわしい素敵な余韻を残す。
<allcinemaより>